ポートレート撮影は人物をメインにした写真の事を言います。よくあるポートレート写真の場合メインとなる人物を主題に背景はぼかしたり明るく飛ばしたりして撮影されています。
このレンズが神レンズです!といった話が出回ったりもしますが、ポートレートの場合は明るくてボケがきれいなレンズが大半です。
ハウススタジオ、自然光スタジオでのポートレート撮影は果たしてどんなレンズが向いていてプロのカメラマンはどんなレンズを使っているのかはポートレートを撮るすべての人が興味のあるところでしょう。
この記事ではハウススタジオでのポートレート撮影のレンズについて、後半ではレンズを選ぶ際に参考にしているキーワードについて書いています。
ポートレート写真を撮る場合、主題の表情やポーズ以上に気を遣うのが背景の処理です。
背景をぼかすべきか活かすべきかどちらが正解なのか悩むところではないでしょうか。
写真はまだ歴史が浅いので絵画に置き換えて考えてみると、中世のころに背景をぼかして描く空気遠近法というものが発明されました。しかしそれ以前の絵画や他の手法だと主題も副題もくっきりと表現しているわけで、どちらが正解というものではありません。
背景を入れることに意味がないのであればぼかして主役を引き立たせる方が良いですが、スタジオの空気感やイメージを大切にするのであれば背景を活かした写真をとるべきです。
また、主題が人物なのか、ハウススタジオそのものなのかという事もしっかり認識していきたいですね。
インテリアのイメージを撮りたいのであれば、背景をぼかしてしまうと意図が変わってしまいます。
背景にピントをあわせてさりげなく人物を入れるといった撮影の仕方も考えられるでしょうし、背景も人物もしっかりピントをあわせシャキッとしまりのある写真を撮るという手法もあります。
その写真の仕上がりを決めるのには、はっきりとした意図が必要で、多くのプロカメラマンはレンズ選択をする前に撮影の意図を確認しています。その上でどうやってレンズ選択をしているのかは次の項にまとめます。
ネット上で「ポートレートレンズ」といったキーワード検索をすると「ポートレート撮影交換レンズの〇選」とか「ポートレート撮影おすすめレンズ〇本」などの記事が多く出回っていて参考にするつもりが選択肢が増えてしまうかもしれません。選択の参考になるよう以下へまとめます。
24-70mmクラスのズームレンズ広角域から中望遠域をカバーするズームレンズは1本だけ持っていくならこれ!と選ぶカメラマンが多いレンズと言えるでしょう。
ハウススタジオでの撮影では広角域で背景までしっかり入れて撮影する事もできるし中望遠域だと背景をぼかす撮影も実現できるレンズです。
ズームレンズに対してレンズにあわせて立ち位置を変えて撮影する単焦点のレンズは慣れがいりますし多様なシチュエーションには対応できないというデメリットもあります。しかしそれ以上にレンズの構成枚数の少なさから仕上がりに差が出るという魅力があります。
ハウススタジオのポートレート撮影で単焦点レンズを持っていくならこれ
単焦点レンズを持参するのであれば準広角域の35mmは非常に撮影しやすいレンズと言えるでしょう。背景と人物をしっとりとなじませつつポートレート撮影ができるレンズです。私は大好きなレンズなので先に書いたズームレンズとこの1本はバッグに入れて行きます。
中望遠域の70mmや85mmレンズだと背景をぼかしつつ人物をひきたたせ豊かなぼかし表現がしやすくなります。人物メインの撮影の場合は85mmは持参したい1本です。
バストアップなら100mmや135mmも用意しますが広い外での撮影とは違い室内での撮影の場合は50mmでも窮屈に感じることがあります。
いっぱいいっぱいに引いても85mmがせいぜい、100mmや135mmはまったく使えない可能性があります。マンションタイプのハウススタジオの場合はズームレンズ1本勝負の方が的確に撮影が進みます。
写真機材に関して出回っている「神レンズ」という言葉。写真を撮るすべての人にとって気になる言葉なのではないでしょうか。
など明確な答えもあればあいまいな好みも伝わってきます。
メーカーごとに神レンズと呼ばれるレンズであったり大三元レンズ(F値が2.8通し(固定)で撮影できるレンズ)や小三元レンズ(F値が4.0通し(固定)で撮影できるレンズ)といったレンズが出回っています。
そんなレンズの性能を数値で表した「MTF曲線」という指標があり、レンズカタログやメーカーのホームページで「MTF特性図」などとして公開されています。
レンズを選ぶ際にその数値を見比べてみるとコントラストや解像度の違いがあるのだということが分かってきます。
「MTF曲線」の見方については各レンズメーカーや光学系のサイトなどに詳しく書いてありますので参考になさってください。
交換レンズを多く持つカメラマンはこうした特性図などのメーカーが出している数値を頼りに、またカメラマン同士の情報交換などからレンズを試し、試行錯誤しながら選び出しています。
レンズ選びは好みもありますがロケハンをしっかりしておくと悩まずにすみます。
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執筆:森川ゆみ子
日本写真講師協会(JPIO)認定講師/写真家
個人事業主様、企業様の商品イメージの撮影、サロン撮影プロフィール撮影などと並行して企業研修や写真撮影セミナー、撮影に関するコンサルティングを行っている。
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