背景紙はハウススタジオや撮影スタジオで重宝する道具のひとつ。写真・動画を美しく撮影できるだけでなくコスト面やメンテナンスなど、様々なメリットがあります。そんな背景紙のメリットや選び方などをご紹介します。
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「カラフルな背景で被写体を引き立てたい」「シンプルなシチュエーションで撮影したい」「切り抜き用のカットを撮りたい」そんなときに活躍するのが背景紙です。
その名の通り、被写体の背景に設置する紙のことで、バックペーパーやバック紙などと呼ばれることもあります。背景紙の役割は無影の環境を作ることですので、被写体の背景をすっきり演出できます。また、一般的な室内では壁と床の色が異なることが多いですが、背景紙を使うと不必要なモノの写り込みを防ぐことができます。
フリマアプリやオークションなど個人でも物販をしている人が多い昨今は、商品撮影の撮影に活用できる手頃な価格の上質紙なども登場しています。
スーペリアは50年以上の歴史をもつアメリカのブランドで、世界に通じる品質基準を設け、フォトグラファーや工芸家、アーティスト向けにシームレス背景紙を製造してきました。約75% の再生繊維由来の紙を使用するなど、環境への影響にも配慮した取り組みも特徴です。
サベージはアメリカのブランドで、1937年からプロ用の製品を製造している老舗です。クリエイティブ産業や最高品質の写真、アート、マット、マットボード製品などの様々なアイテムを展開しています。広大な製造施設とデザインセンターを擁し、革新的な製品づくりをモットーとしています。
セットペーパーは、1977年にアメリカ・ニューヨークにおいてSet Shopとしてスタートしたブランドです。主力商品であるセットペーパーをはじめ、写真やビデオ撮影用の幅広いクロマキー製品、テレビ、映画撮影などに利用される背景材料やスタジオ機材を扱っています。同ブランドのセットペーパーや塗料、接着剤は難燃性が高く様々な地域で利用されています。
BDは65年以上の歴史を持つアメリカのブランドです。北米、南米、ヨーロッパを中心に中国、シンガポール、インド、日本など代理店を通じてグローバルに展開されています。製品は背景紙をはじめとするプロユースのスタジオ機器を扱っています。背景紙は伸縮やシワになりにくい素材で、ハレーションも起きにくく、安心して利用できる品質を提供しています。
背景紙を利用すると作品のクオリティアップや、撮影機材のコストダウン、作業の効率化など様々なメリットが盛りだくさん。詳細は次の通りです。
撮影する際に、内装や家具を調和させることがおしゃれな写真や動画の第一歩。インテリアが凝りすぎて被写体が目立たなくなったり、モデルが空間の雰囲気にマッチしなかったりすると、まとまりのない印象を残してしまいます。
一方、背景紙は被写体を引き立てる役割を果たし、色を変えるだけで世界観を表現できるスグレモノ。モデルの装いが華やかな場合は、衣装の華やかさを妨げない色を使用したり、家族写真を撮影する場合は明るい白を利用するなど、被写体によって変化をつけやすいことも魅力です。
料理撮影では、白や明るい色の背景をコーディネートすることが多いですが、白い背景は湯気が溶け込んでしまいます。そこでおすすめしたいのが黒い背景紙。思い切って黒い背景紙を使うことで、湯気がしっかりと写って熱々のおいしさを表現することが可能となります。
背景紙は基本的に使い捨てるものなので、汚れやシワがついた場合もメンテナンスは不要となります。また、紙なので気軽に処分しやすいこともメリットといえるでしょう。撮影の準備としてスタンドを使ったセッティングは必要になってきますが、背景紙そのもののアイロンがけは不要となり撮影準備手間が省けます。
動画を作成する場合は後処理の編集が欠かせません。その際の背景処理におなじみの素材がクロマキー合成用のグリーンの背景紙です。デジタル技術によってグリーンの背景を異なる背景に変換し、きれいな合成映像を作ることができるのです。
どんな背景紙を使用するかは、被写体と撮影の用途の組み合わせで考えます。例えばポートレート撮影ならば、全身撮影かグループでの撮影か、縦位置、横位置などによって選ぶサイズも変わってきます。
各ブランドで様々なサイズを展開していますが、幅2.72×11m巻きを基本サイズとしているメーカーは多いです。このサイズは写真スタジオでの最低幅として設計されています。そのため、人物のバストアップはもちろん、全身撮影から家族写真、ポージングのあるファッション撮影にも利用できるのです。
この他によく使うサイズには、幅1.75×2.7mや幅1.75×5m巻きもあります。これらは半身のトルソーや商品撮影などにも適しており、カメラ量販店でも購入しやすいサイズです。
幅1.75mより小さい幅1.35×11m巻きまたは幅1.35×5m巻きも半身のトルソー向きのサイズです。これは人物撮影には横幅が不足気味ですが、小物の物撮りにはおすすめです。
上記以外に複数人を横並びで撮影するときに便利な3.56mのワイドサイズをはじめ、0.66mのクオーターサイズといった幅もあり、長さも1m程度から50m近いものまで揃っています。
また、サイズ選びで気を付けたいのが背景の余白部分。被写体が入る大きさだとしても、左右の余白ができずに被写体と同等の大きさになってしまうと後で使いづらい写真になります。そのため背景紙のサイズ選びは、余白も計算に入れたうえで被写体や撮影場所に応じて選ぶのがおすすめです。
各メーカーでは多彩な色の背景紙が揃っているので、撮影したい内容やイメージに合わせて色を選択するのがおすすめです。最も使用頻度の高い色は、もちろん白色。例えば商品説明のカットを撮影する場合、最も見せたいものは商品のディテールです。白の背景紙を選べば、商品の魅力を損なわず、特徴を引き立たせることができ、商品のカラーバリエーションがあった場合にも対応しやすい色といえます。ただし商品のカラーが白の場合は、アイボリーなど商品の色と被らないような色を選びましょう。
色を変更するだけでがらりとイメージが変わる背景紙。様々なイメージを撮影できるよう、多彩な色やサイズを取り揃えたいところですが数を揃えるとコストもかかり、保管場所も確保しなくてはなりません。
そこで背景紙と並んで撮影用のバックグラウンドに用いられるのが背景布。市販でも入手しやすく様々な色や柄、素材があるので、背景のバリエーションを求めるときにおすすめです。シワになりやすいのでアイロンがけの手間がかかりますが、コンパクトに折りたたみできるので持ち運びに便利な点は大きな魅力です。
この他、細かい雑貨や小物などの物撮りであれば、ホームセンターや100円均一などで販売しているタイル調や大理石調、木目調のシートなどを選んでもよいでしょう。
また、壁や床の色にこだわっているハウススタジオを利用するのも一つの方法。その際に背景紙やスタンド、照明機材などが充実しているスタジオを選べば、バリエーション豊かなシーンで撮影することが可能です。被写体の魅力がぐんと引き立つ背景を選んで、写真や映像のレベルアップにぜひお役立てください。
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